2010年3月31日水曜日

森博嗣『詩的私的ジャック』

《あらすじ》
死体に残された傷は何を意味するのか!?
女性が死んでいた。みな密室で。歌詞のとおりに1人、また1人。

大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する!

S&Mシリーズの4冊目です。この話では冷たい密室と博士たちの時のように、犀川や西之園萌絵の近くで事件が起こります。そんな近いところで立て続けに事件に巻き込まれるというのは、不幸としか言いようがないですが・・・。
この作品当たりから、不思議な感じの漂い方が尋常じゃなくなってきていると思います。ここまでの作品では犯人の動機も理解できる範疇でしたが、この作品のような犯人は、現実にはいない小説の世界の中だけのキャラクターだと思います。こんなタイプの人がいないわけではないけど、殺人の動機にされたら世界の設定が歪みます。

少し否定的に書きましたが、本書の魅力がまさにその、犯人の考え方や性格にあると思っています。この話も密室が扱われていますが、必ずしも密室そのものを解くことが重要になるタイプの問題ではなく、なぜ密室だったのか、そして動機は何だったのかということに重きが置かれています。そういう意味では、ミステリ要素だけじゃない力があります。

0 件のコメント:

コメントを投稿