2011年6月20日月曜日

フェイスブック‐若き天才の野望‐

タイトル:フェイスブック 若き天才の野望

著者:デビット・カーク・パトリック

著者について:
IT関係の取材に長けている記者。過去にビルゲイツやスティーブジョブスを取材。今回の取材のために会社を辞めている。

この本と出合ったきっかけ:
書店の平積みでかなり目立っていたうえ、フェイスブックも話題になりかけていた。

内容について:
ハーバードの学生であった、マーク・ザッカーバーグがどのようにして若き億万長者になったのか、どのように成功していったのかを密な取材によってたどっている。

この本を読むと、何かを始めたいという気持ちに駆られる。ザッカーバーグはたぐいまれなる指導力を持ってフェイスブックを強大にしていったが、失敗も少なからずしているし、どこか人間味があるように感じられる。(著者の取材の賜物かもしれない。)

とりあえずフェイスブックに登録したくなる。僕は、ザッカーバーグの理想には反して偽名で登録しているのだけども、少しだけ本名で登録したくなった。(けど、登録しただけでロクに使ってない。友達0人w)

Googleと比較される点が多いけど、著者も指摘しているとおり、Googleはテクノロジーに特化している一方、Facebookは人間に焦点を絞っていると感じた。Facebookが人間に焦点を絞っている以上、Googleは人工知能や量子コンピュータでも開発しない限り、Facebookには追い付かれてしまうだろうと思う。僕はやっぱり現時点ではテクノロジーよりも人間が上にあってしかるべきだと思う。

世の中には、こんなに何かに一生懸命な学生がいるんだなと思った。本書の主人公たちの充実さは正直うらやましいし、自分の大学3年までの過ごし方は最低ではないにしろ余り誇れるものではないなと思った。(多くの日本人大学生が思っていることだと勝手に考えているけど。少なくとも自分の身の回りは・・・。)

話は変わるが、プログラミングを本気で学んでみたいと常々思っているが、この本を読んでより強くそう思うようになった。何かに役立つとは言えないけれど、Webリテラシーという点で、語学などのコミュニケーション力や経済的な知識に匹敵するくらい重要な素質になると思う、と個人的に思っている。

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フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

2011年6月7日火曜日

脳に悪い7つの習慣

タイトル:脳に悪い7つの習慣
著者:林成之
著者について:
お医者さん
この本と出合ったきっかけ:
友達が2年前くらいに読んでた。

内容について:
この本を読んで一番印象に残ったのは、脳の性質である「自己保存」「統一・一貫性」という2つのクセのこと。場合によっては「先入観」というのもこのあたりに関連していると思う。
この本に書いてあるほとんどの悪い習慣はこの二つのクセによって説明できそうな気がする。

読み終わったのは一週間以上前だけど目次読み直していくつか思い当たる点についてメモ。


《「嫌だ」「疲れた」と口にするのはNG》
これは良く言うし、良く聞く。さらに「眠い」あたりがランキングの上位に食い込んでくる。こういう言葉を発するのは、「自己保存」の表れ。こういうマイナスの言葉は、言う側も聞く側も、目の前のやるべきことにマイナスのレッテルを張ってしまう。

《表情が暗いと脳も曇る》
そのとおりだ!
というかどちらかというと脳が曇ってるから表情が暗くなるような気もするけど。

《「だいたいできた」と安心してはいけない》
レポート課題に関してはみんなこの姿勢でやっていることにこの本を読んで気づいた。
「もうこのことは考えなくても良い」と脳が判断してしまうらしい。
まさにその通りの実感がある。そうすることが必要な場合(忙しい、構ってられない)っていうのもあると思うけど、大事な課題とかでは、「完成はない」と考えた方がいいかも。

《「無理かもしれない」と考えるのはNG》
これ見て最初に思ったのは、小学校の頃の体育の時間。そのころからあきらめ癖がしっかりと身に付いていたということか。
大学に入ってスポーツ初めて本当に良かったと思っている。

《本を一回読むだけでは学んだことは活かせない》
そう。

わかってはいた。

しかし、これほどドキッとさせられた点は他にはなかった・・・。

趣味、娯楽として読む分には構わないと、書いてはあったけど、一回読んだ程度では身につくわけはないと、しっかり脳科学者が言ってくれた。
自分が一回読んだだけで記憶できるとは思ってないので、できればよい本は買って手元に置いておきたいけれどね・・・お金が・・・ね・・・・。

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2011年5月21日土曜日

デフレの正体

タイトル:デフレの正体―経済は「人口の波」で動く

著者:藻谷浩介

著者について:日本政策投資銀行参事役。

この本と出合ったきっかけ:
書店の平積みで帯に、池上彰(伝える力、学べるニュース)、山田真哉(さおだけやはなぜ潰れないのか)の称賛コメントが書いてあって、この二人とも著書が気に入っている。為替に興味があって(要はFXがやってみたい)デフレという言葉に吸引された。


内容について:
GDPとは健康診断に例えると「総合体調指数」である。これだけを見ても、血圧がいくらで、体脂肪率、血糖値、尿酸値、肝機能はわからない。

絶対額ではなく対前年同期比と総合指数だけを比べるようなことをしてもしょうがない。客観的で議論の余地のない絶対数、すなわち輸出額、輸入額、貿易収支の額を冷静に眺め、そこから構造を把握するようにする。(さおだけ屋を思い出した。)

対中国赤字は対香港黒字に比べてはるかに少ない。2008年の対中国黒字は2.7兆円。

GDPの合計は中国が日本を抜くが、中国は人口が10倍であることを忘れてはならない。

シンガポールは人口は中国の0.3%だが対シンガポール黒字は二兆円を超える。中国がシンガポールほど発展した際には、日本経済は史上最高の繁栄を迎えることになると考えられる。

世界で韓国車が売れないのは沖縄以外の日本だけ

中国、韓国、台湾は日本のブランドを買っている。

対日本黒字を出している国はフランス、イタリア、スイスでこれらの国は日本にブランドを売っている。

これらのことから日本はブランド力を高めるべきという結論に至る。

中韓台印がスイス、イタリア、フランスに行く前に日本ブランドを確固たるものにすべき。特に同じアジア人として生かせる分野。化粧品、食品、装飾、服飾など。

国内の酒類販売量が、95年あたりがピークで02年度から落ち込んでいる。水や食品も。車の販売量や雑誌の販売数も同じように連動している。これらはすべて同じ構造的な問題によって減少に転じた。

米国流のファイナンスでは「事実は何か」よりも[皆がどう思っているか]が重要となってしまう。報道がそういった情報に傾いてしまうのは仕方がない。報道のそういう避けられない欠陥を踏まえたうえで、自分で絶対数を確認し、しっかりと長期トレンドを把握する癖をつけるべき。

数字を読まない(SY)、現場を見ない(GM)、空気しか読まない(KY)ではダメ。

23区の売り上げを売場面積で割ると、1㎡あたり169万円。青森では75万円。しかし、土地代を比べると、23区の方がはるかに高い。(169/75を遥かに超える。)

「生産年齢人口の減少」と「高齢者激増」の同時進行を「少子高齢化」という言葉で表現している。この言葉は「子供が増えれば高齢化は防げる」という誤解のもと。

2000年から2005年までに増えた367万人の高齢者のうち118万人が首都圏一都3県に住んでいる。

いざなぎ景気も人口増がもたらした。

横山禎徳「成長創出革命」

90年代半ばは就職氷河期と呼ばれているが、団塊ジュニアが一気に就職し、就業者の総数が一気に増えた。

就業者数と反対の動きをするのは失業者数ではなく、非労働力人口。

「昔ほど車は買わない、そもそも以前ほどものを買わない、最近あまり本や雑誌を読まない、モノを送らなくなったし車にも載ってない、近ごろあまり肉や脂を食べないし、酒量も減った、水も昔ほど使ってない」これはまさに、退職後の高齢者世帯も消費行動そのもの。

高齢者にモノやサービスを買わせるということを戦略的に追及する。

この記事なんとなく著作権法違反の気があるけど、事実の羅列だからいいよね。たぶん。

非常に明快な理由によって説明されていて、少し怪しい気もした。でも、著者の人が言っていることは大体あってると思う。

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デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

2011年5月12日木曜日

悪貨

タイトル:悪貨

著者:島田雅彦

著者について:
島田雅彦という人物を知ったのは、確か朝日新聞の日曜版のコラムだったと思う。本の最後の経歴見ても、なにもピンとこなかった。外語大卒らしい。そのコラムは結構面白かった気がするけど、どんな内容だか忘れてしまった。著者の作品を読むのは初めて。
この本と出合ったきっかけ:
何かのランキングで見てなんとなく借りたとしか言いようがない。

主な思いだせる登場人物:
池尻 彼岸コミューン代表、元経済学教授。野々宮の恩人。
野々宮 野々宮に恩があり、彼の代表する彼岸コミューンに多額の寄付をしている。
日笠 警察。偽造貨幣の調査に長けている。
エリカ 日笠の部下。
張燕燕 エリカが潜入捜査をしている宝石店の店長。
郭解 中国の資産家。
フクロウ たぐいまれな観察眼を持っている。後藤とは古くからの知り合い。
後藤 フクロウの父親が経営していた印刷所に勤めていた。今は中国で仕事をしている。
鉄幹 野々宮の秘書役。

内容について:
悪貨と聞くと、「悪貨は良貨を駆逐する」という経済学でよく聞く言葉が浮かんでくる。どんなんだっけと思ってたら、作中にも出てきたけどもう忘れてしまった…。

最初はホームレスの男が100万円の入ったビニール袋を拾うことから話が始まる。ビニール袋に入った100万円があちらこちらで使われて、いろいろな人にわたっていく様子が面白かった。今手元にあるお金も誰が触ったかわからないお金だなぁと改めて思った。

結局そのお金は贋金だということがわかるわけだけど、そこから警察がお金の流れを逆にたどり、ただの偽札騒動が思わぬ方向へと広がっていく。実社会にもありそうに感じてしまうような設定なところがおもしろさの一つだと思う。おそらく作者は経済学に結構明るいだろうし、それをこのようなフィクションにしてしまうのはすごい。小説の感想を書くと、作者はすごい一辺倒になってしまうことに今気がついた。まぁいいか。

仮に、本作のような形でハイパーインフレが現実に起こるとしたらどうなるだろうか(ネタばれ?)。「デフレの正体」的にいえば、貯蓄をいっぱい蓄えているリタイアした高齢者の方々の資産価値は下がり、一方現役の生産者はインフレした状態で給料をもらえるわけだから、富の再分配が行われると思われる。とりあえず、インフレ、デフレが良い悪いとかは、僕にわよくわからんので、詳しくは語らないが、中国の貿易相手のとしては米国に次ぐ2番手である日本(参照)がインフレになったら中国にも悪い影響ありそうだよ、と思う。今のご時世で日本における中国の輸入物の値段が上がったらだれも買わなくなっちゃうんじゃないかと思う。もちろん悪いものばかりではないとは思うが。まぁ、この段落はただの空論です。

現実に起こり得そうな話っていうのは、やっぱり面白い。ところどころ小ネタが効いているというか、伏線みたいなものがけこう散らばっていてそういう点も面白かった。

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悪貨 (100周年書き下ろし)

2011年5月5日木曜日

夜行観覧車

タイトル:夜行観覧車

著者:
湊かなえ
著者について:
告白でだいぶ話題になった。告白、少女はすでに読んだ。
この本と出合ったきっかけ:
書店で平積みになっていて、最近売れてるなぁと思いつつ、図書館で予約した。
登場人物:
遠藤家
啓介 彩花の父親、壁紙の張り替え業者、家庭のことから逃げるタイプ?
真弓 彩花の母親、彩花とは口論が絶えない。家に対して高級志向。住宅ローンの返済のためにスーパーでパートをしている。
彩花 中学生。私立中学の受験に失敗。癇癪持ち。

高橋家
父親(名前忘れた)医者。子供に対しては、自分のやりたいようにさせる。事件の被害者。
母親(名前忘れた)
良幸 長男。医学部生。
長女(名前忘れた)彩花の落ちた学校に通っている。
慎也 二男。事件後行方をくらます。

鈴木さと子 ひばりヶ丘に住むご婦人。おせっかい。

内容について:
閑静な高級住宅街で起きた殺人事件。被害者、加害者の家族、その近くに住む家族などの関係者の話。

湊かなえは現代社会における家族他人間関係が抱える問題を、どす黒い感情を含めて表現するのが、すごくうまいと思う。ドロドロした話とか、人間不信になりそうな本を読みたいときには、かなりお勧め(だいぶニッチなシチュエーションだけど)

受験が抱える問題。子育てに関する父親も無神経さ。被害者、加害者家族への誹謗中傷。
マスメディアが間違った情報ばっかだということまで、表現したいらしい。

告白を読んだ時は、だいぶ衝撃を受けたし、胸糞悪くなったけど、それに比べれば、どういう作風か知っている分、良くも悪くも印象は小さい。時系列については各章ごとに時間とか書いてあったけど、ちょっとわかりにくい印象があった。章の中だけでも一人称が結構変わって、一人ひとりの感情は伝わってくるけど、流れがつかみにくかった。様な気がする。


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夜行観覧車

2011年5月2日月曜日

伝える力

タイトル:伝える力

著者:
池上彰
著者について:
慶応大学卒。元NHK記者。
この本と出合ったきっかけ:
最近何かと話題にのぼるので、読んでみようと思った。池上彰の本は、分かりやすさの勉強法のみ学校の図書館で借りて読んだ。後は、こどもニュースはたまに見てたくらい。税金がなくなるとどーなるの?見たいな回があって、それがすごい印象に残ってる。
目次:
はじめに

第1章 「伝える力」を培う
1.「日銀」とは何か、説明できますか?
2.深く理解していないと、わかりやすく説明できない。
3.教科書はわかりにくい
4.まずは「自分が知らないことを知る」
5.謙虚にならなければ、物事の本質は見えない
6.何を取り、何を捨てるか
7.プライドが高い人は成長しない
8.聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
9.「良い聞き手」になるために
10.V6の井ノ原さんとTOKIOの国分さんの人気の秘密
11.自分のことばかり話さない
12.相手の「へぇー」を増やす

第2章 相手を惹きつける
13.(1)映画や連載記事に学ぶ“つかみ”方
14.(2)景気が回復したのは小泉内閣のおかげですか?
15.(3)「元次期大統領のゴアです」
16.(4)10秒あれば、かなりのことを言える
17.(5)「型を崩す」のは型があってこそ
18.(6)言うべきか、言わざるべきか
19.(7)会議では一人一人の目を見ながら話す

第3章 円滑にコミュニケーションする
20.(1)「爆笑問題」の危機管理
21.(2)その言葉に“愛情”はあるか
22.(3)綾小路さんや毒蝮さんの毒舌が受け入れられるわけ
23.(4)「村上世彰発言」の問題点
24.(5)成功して好かれる人、成功して嫌われる人
25.(6)悪口は面と向かって言えるレベルで
26.(7)叱るのは「1対1」が大原則
27.(8)褒めるときは「みんなの前で」
28.(9)「聞く」ことで「伝わる」こともある
29.(10)理屈ではない感情もある
30.(11)謝ることは危機管理にもなる
31.(12)苦情を言う時のポイント
32.(13)「実りある苦情」にするために
33.(14)苦情電話の対応法

第4章 ビジネス文書を書く
34.(1)フォーマットを身につける
35.(2)優れた文章を書き写す
36.(3)現地調査では「素材」を探す
37.(4)演繹法か、帰納法か
38.(5)「緩やかな演繹法」
39.(6)「五感」を大事にする
40.(7)問題は「中身のない文章」

第5章 文章力をアップさせる
41.(1)「もう一人の自分」を育てる
42.(2)プリントアウトして読み返す
43.(3)寝かせてから見直す
44.(4)音読する
45.(5)上司や先輩に読んでもらう
46.(6)人に話しながら、書く内容を整理する
47.(7)ブログを書く
48.(8)新聞のコラムを要約する

第6章 分かりやすく伝える
49.(1)氾濫する“カタカナ用語”
50.(2)カタカナ用語は社外の人には使わない
51.(3)「~性」「~的」はごまかしがきく
52.(4)漢語表現や四字熟語の使い方
53.(5)「難しいことも簡単に」書く、話す
54.(6)相手の立場になって考える
55.(7)図解はあくまで手段
56.(8)矢印を使い分ける
57.(9)図に入れる文字は最小限に

第7章 この言葉・表現は使わない
58.(1)「そして」「それから」
59.(2)順節の「が」
60.(3)「ところで」「さて」
61.(4)「いずれにしても」
62.(5)メールの絵文字

第8章 上質のインプットをする
63.(1)アウトプットするには、インプットが必要
64.(2)小説を読む
65.(3)人間と語彙の幅を広げる
66.(4)落語に学ぶ
67.(5)スケジュール管理がビジネスを左右する
68.(6)スケジュールは公私ともに一冊で管理する
69.(7)年始に大まかな一年の予定を組む
70.(8)思い立ったらすぐにメモ

おわりに

内容について:
ここまで目次が内容を語っている本も少ないと思った。実は〈わかりやすさ〉の勉強法を読んで、0.9mmのシャープペンシルで、ちょこちょこメモ取りながら読む方法を実践中だが、その方法はこの本でも最後の方にちょこっと言及されていた。半ば、ペンは衝動買いみたいな感じだったが、このやり方は2ヶ月くらい続いている。

〈わかりやすさ〉の勉強法にくらべると、内容は浅い分広く扱っている印象を受けた。(あくまで印象)。それでも、浅いといっても内容がないわけじゃなくて、軽めに読めてしかも内容がある。比較すると、〈わかりやすさ〉の方が、読書法や勉強法についての勉強本になっていて、本書はもっと視野が広いという感じがした。

・自分は何も知らないことを理解する。「当然、自分で出来る努力は最大限したうえで、分からないことは素直に聞いて教えを乞う、という姿勢こそが大切です。

・「「人の話にきちんと耳を傾けることができる」のも、ビジネスパーソンに求められる資質の一つです。これをおろそかにする人に、良い仕事はできないと思うのです。」



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伝える力 (PHPビジネス新書)

2011年5月1日日曜日

読書についての本3冊比較

読書について語っている本が結構好きで読んでるのでその比較。

・差がつく読書 樋口裕一 
京都産業大学客員教授。頭がいい人、悪い人の話し方など著書多数。
「読書」を「実読」と楽読に分けて解説。

「実読」とは“何か行動に結びつけるために、情報や知識を得ようとして行う読書、つまり何かに役立てようとする読書”

「楽読」とは“何かに役立てたいと思うのでなく、ただ楽しみのためだけに読む読書”

この二つのどちらにも偏らずに、バランス良く読むべきである。

実読には発信することが不可欠であるという主張。いくつかの実読の方法についてや発信の方法の解説は大いに参考になった。

後ろの方の著者が影響を受けた100冊もよい。特に、文学史の教科書に出てくるような本はあまり読んだことがないので参考になった。東海道中膝栗毛はきっと面白いんだろうな。

・フォーカスリーディング 寺田正嗣
速読法について書かれた本。一度目にすればあなたの脳は記憶しているのですとかいうタイプの本ではない。

本書の著者によると、
本のコンテンツ力=著者の力×あなたの経験値
であり、読書の費用対効果は
読書の費用対効果=本のコンテンツ力/読書にかけたコスト×あなたのビジネス力
となるらしい。

そんでもって、費用対効果を上げるには分子を大きくするよりも、分子の読書にかけるコストを小さくする方が簡単で、それを実現させるのが、フォーカスリーディングだという話。まあその通りだと思う。

この本では、丁寧に読んだとしても、たくさん読んだとしても、読書するだけでは成長できるわけではないと主張している。それどころか、成長を邪魔する可能性すらあると。

アウトプットも手段にすぎない。その先にある成長の方が、本を読む目的のはずで、だとすると、アウトプットをしないというのも選択肢に入る。自分は、アウトプットを今はしているけど、めんどくさくなったらすぐやめると思う。実際やめてたし。アウトプットすることで、要点をまとめたり、考えを整理する練習になったりすればと思ってやっているけど、やっぱり時間は取られるから大変というのはある。

理論編の最初の2章は読書の姿勢として学ぶところが多い。せっかくなので一部目次引用。

>理論編第一講 あなたがはまりがちな“読書の罠”
>①「要領のいい読書」と「勘違い系の読書」とは
>②本を読むと思考力が衰える?
>③わかったつもりが勉強の邪魔をする
>④たくさん読むから悪くなる
>⑤お勧め本に安易に手を出すな
>⑥「頑張って読もう」と思うと本は頭に入らない

>理論編第二講 読書に何を求めるのかをはっきりさせる
>①読書の目的を明確にする
>②リターンを最大化する読み方を考える
>③リターンは2系統を意識しよう
>④TPOを踏まえた読書を目指せ!

3冊読んだうちで一番実践寄り。おそらく差がつく読書での「楽読」についてはこの本の対象ではない。

この本は駄目だなと思ったら、さっさと読むのをやめた方がいい。ダメな本を読む時間があったらもっと有効に時間を使うべきだと。投資でいえば損切りが重要だと、著者は主張。池上彰の〈分かりやすさ〉の勉強法でもそんなこと書いてあった。

自分はと言えば、読書に関しては損切りはできない質で、本は全部読むか全く読まないかである。また、お勧め本は安易に手を出すなというのは正直グサっと刺さってきた。確かにお勧め全部読んでたら時間がいくらあっても足りない。

後半部分の鍛錬編については特に実践していないので何とも言えない。

あと、この手の本でアマゾンの評価が高いってのは結構すごい気がする。たいていはこんなんじゃ速く読めるようにならんよ的な不評が並んでる。

・空気を読むな、本を読め 小飼弾
新書がベストをすでに読んでいるので、著者が本についてどのような考えを持っているかは、大体理解していたので、ただ単に本棚にあったのが目に入って、再確認したくなった。

読書とは、しなければいけないものではなく、出来ればいい程度の「遊び」である。という点については非常に共感できる。世の中本を読んでいるだけで勉強家だと思う人は少なくないはず。身の回りにもいる。もちろん勉強のつもりで読むことも多くあるけど、基本的には読んでて楽しいから読んでる。

著者はとりあえずたくさん読めば読むほど世界は変わると主張している。確かにあんまり読んでないころに比べたら変わったかも。最近は少し読むスピードが速くなってきたせいか、テレビの遅さがちょいとじれったい。(テレビだと「ながら」ができないからじれったいのかも。)

アウトプットに関しては、著者自身が著名な書評ブロガーなのでその点について書いてある。著者はアウトプットはすべきであると主張。

最後のお勧め本はかなりいろんな分野にまたがってて面白い。(そしてまた読みたい本リストが長くなる。)

****************************************

とまあ長々と3冊分。

寺田氏はたくさん読むだけでは無駄と言い切っているのに対して、他二人が多読を奨励していたり、小飼氏だけが付箋は無駄だと言っていたり、読み比べするのも面白いなと思ったりした。

近い分野の本を何冊か読むのは、その分野の理解を深めるのにいいとどこかで聞いたことあるような気がしたけど(大学の授業とか?)、確かにそうだなと思った。「フォーカスリーディング」だけ読んでたら、もっとスマートに取捨選択しなきゃと思うだけだけど、「空気を読むな、本を読め」を読んだら、微妙な本でも経験になると考えられるし、「差がつく読書」を読んでいたら、自分には合わないけど、出版されている限りこの本が誰かにとっての一生の一冊になっているかもしれないと思うこともできる。

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差がつく読書 (角川oneテーマ21)
空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)
フォーカス・リーディング 「1冊10分」のスピードで、10倍の効果を出す いいとこどり読書術

2011年4月24日日曜日

WikiLeaks アサンジの戦争

タイトル:WikiLeaks アサンジの戦争

著者:
ガーディアン特命取材チーム デヴィッド・リー&ルーク・ハーディング

著者について:
イギリスで最も権威ある新聞の一つ(知らなかった)。帯にはかなり評価は良いらしいと書いてある。ウィキリークスが有名になる前から密着した取材を行っており、本書に登場sるジャーナリストの多くは本新聞の記者。著者も時々登場。記憶が正しければ、ルークさんの方は最後の方にちょっと出てきただけ。

この本と出合ったきっかけ:
なにはともあれ、現代を象徴する事件を起こした張本人である、ジュリアン・アサンジについて、ウィキリークスについて知りたかった。スティーブジョブスやクレイグベンターの本を読むような気分で読み始めた。ジュリアン・アサンジはどんなにスマートで、いかれていてカッコいいか見たいな話を期待していた。(あくまで読み物としては)
本の入手元は図書館の新刊の棚に並んでいたのをとっただけ。表紙の銀髪イケメンが、印象的だった。

目次:
1 秘密の扉
2 技術兵の「正義」
3 ジュリアン・アサンジ
4 ウィキリークスの誕生
5 「アパッチ」のビデオ
6 ラモとの対話
7 取引
8 作戦会議室ウォールーム
9 アフガニスタン戦争報告書
10 イラク戦争報告書
11 公電
12 世界一有名な男
13 パートナーの不安
14 嵐の前に
15 公開日
16 史上最大の機密漏洩
17 ウォンズワース獄舎のバラッド
18 ウィキリークスの行方
エピローグ

内容について:
アンダーグラウンドの題辞にアサンジはオスカー・ワイルドの一文を選んでいる。「素顔で語れば、人はもっとも本音から遠ざかる。仮面を与えれば、真実を語るだろう。」

自身のブログIQ.orgに語る、「大量に情報が漏洩すれば、システムをよりオープンな支配形式に変えようとする人々はそのシステムを攻撃しやすくなる。暴かれた府政だけが答えを持つ。我々が賢明な行動をとるためには、実際に何が起こっているのかを知らなければならないのだ。」

スウェーデンにはメディアや調査報道を行う記者を保護する強力な法律がある。

マニングのとった方法(データをばれないように運んだやり方)は正攻法。軍のシステムファイルをAFS-256で暗号化し、SFTPでインターネットアドレスに転送、自身で設定した暗証番号を別途「トーア」を介して送る。(よくわかんない)

ドミートリー・メドヴェージェフは、バットマン役のプーチンに対して、相変わらずロビン役を演じている。

外交公電の漏洩の時のガーディアン記事のタイトルは、「米大使館外交公電の漏えいが世界規模の外交危機に火をつける」

アノニマスの主張「我々は、情報の自由な移動を指示する。アノニマスは、あらゆる形でいたるところで、この目標に向けて精力的に活動を進めていく。これにより、インターネット、ジャーナリズムとジャーナリスト、世界の人びとの表現の自由は達成される。我々の行動に賛成しかねる人びとがいることは承知しているが、アノニマスは一般市民の声が沈黙することのないように、市民のために戦っている。」

クリプトーム主宰ジョン・ヤング「年長者に辟易しているネット時代の若者にとってジュリアンは素晴らしいショーマンだ」

サイバーアナリストであるスタンフォード大学のエフゲニー・モロゾフはニューヨークタイムズにウィキリークスは素晴らしい可能性を秘めているという趣旨の寄稿をした。ウィキリークスは広く認識されたブランドであることとメディアとの幅広いつながりという2点で、他の追随する模倣者たちよりも有利だとしている。

無名のハッカーが世界中でもっとも話題の人物に変身した。罵倒され、称賛を浴びて一斉を風靡、その直後に逮捕、保釈、そして次は?本書はその推移を語るものだ。


機密公電の一部は講談社のホームページに掲載されている。

ブラッドリーマニングはウィキペディアでも有名人扱いみたい。結局一番今回の事件で何かをやらかしたとすれば、現在23歳の彼であり、今現在も裁判はまだ始まってないと思われる。(Wikiに書いてないからといってそう判断するのも良くないけど。)

第7章の取引までの話は、物語としてかなりアツい。スパイ映画みたいなドキドキ感がある。アサンジを無理にカッコいい役にひきたてて映画作ったらおもしろい気がする。(レクター博士みたいなキャラ希望)
その辺まではジュリアンはカッコいいんだが、性犯罪容疑で逮捕されるまでの話あたりは、あんましカッコ良くない。

本全体としては、物語として読んでも面白いし、ただの事実の羅列ではなくて、実際に取材した記者が臨場感たっぷりに書いてくれているのでわくわくする感じがある。


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ウィキリークス WikiLeaks  アサンジの戦争

2011年4月19日火曜日

20歳の時に知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

タイトル:20歳の時に知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

著者:
ティナ・シーリグ(Tina Seelig)

著者について:
スタンフォード大学アントレプレナーセンターエグゼティブディレクター。神経科学博士。
この本と出合ったきっかけ:
書店の平積みで並んでいて気になっていた。図書館で借りて読む。

目次:
第1章 スタンフォードの学生売ります
自分の殻を破ろう
第2章 常識破りのサーカス
みんなの悩みをチャンスに変えろ
第3章 ビキニを着るか、さもなくば死か
ルールは破られるためにある
第4章 財布を取り出してください
機が熟すことなどない
第5章 シリコンバレーの強さの秘密
早く、何度も失敗せよ
第6章 絶対いやだ!工学なんて女がするもんだ
無用なキャリア・アドバイス
第7章 レモネードがヘリコプターに化ける
幸運は自分で呼び込むもの
第8章 矢の周りに的を描く
自己流から抜け出そう
第9章 これ、試験に出ますか
及第点ではなく最高を目指せ
第10章 実験的な作品
新しい目で世界を見つめてみよう
感謝の言葉

解説「異質なこと」をする能力

内容について:
今手元に5ドルあります。それを2時間でできるだけ増やすにはどうすればよいか。
一番増やしたチームは、5ドルにとらわれずに行動したチーム。ルールにとらわれないこと。

T字型人材の育成:少なくとも一つの専門分野で深い知識を持つと同時に、イノベーションと企業家精神に関する幅広い知識を持っていて、異分野の人たちとも積極的に連携して、アイデアを実現できる人たち。

ガーデン・ロスコフのCEOデビット・ロスコフは、リーダー像について、頂点に上り詰める人は、そうでない人たちよりも精力的に働く。前に進もうとする推進力が大きい。目標を達成しようという意欲が強い。「並はずれた業績を達成した人々の最大の味方は、ほかの人たちの怠慢である。」

所感:
内容についてのところに書いてあるように、結構インパクトのある演習を行っていることが、有名になった一つの要因と思われる。

筆者が最も言いたいこととは、自分が感じた限りでは枠にとらわれずに、空気なんか読まずに行動すべし!と言ったところ。スタンフォードの学生がこれを聞いて自分を見直すようならば、空気を読むことばかり気にして(そのくせあまり読めてない)自分のような学生にはハードルが高すぎる気もする。

簡単に日本の教育が悪いと言う人もいそうだが(引用もとなし、なんかの本で読んだような気がするだけ)、誰かのせいにしたところで、何かが変わるわけではないというのも常套句だから、自分を変えていくしかないのだろう。

藁しべ長者みたいな話も載ってた。読んでて面白いと思う。

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Amazonで検索したら、シーリングの方が、シーリグより上に出てきてみんな間違えるんだなと思った。

2011年4月17日日曜日

グーグル時代の情報整理術

タイトル:グーグル時代の情報整理術

著者:ダグラス・C・メリル&ジェイムズ・A・マーティン

著者について:失読症、心理学博士、グーグルの偉い人だった、恋人を病気で亡くした経験あり

この本と出合ったきっかけ:Lunascapeを使っていたら、お勧めブログに小飼弾の404NOTFOUND があった。これをきっかけに小飼弾という人を知り、それから新書がベストという本を読む。その本の中でハヤカワ新書juiceが外れなしということを知り、なぜこの店で買ってしまうのかが、1500円でこの知識を手にできて本当に良いのか?という小飼弾のべた褒めによって読むことを決めた。そして、予想をはるかに上回る自分的クリーンヒットだったため、同シリーズの他の本も読んでみようと思い、図書館にて手に取ったのがこの本。

目次:
まえがき

パート1 自分を客観的に見つめなおす
第1章 自らの脳を探る旅―カクテル・パーティとキャプテン・クランチ
第2章 どうしようもなく間違った現代社会の仕組みと向き合う
    ―夏休み、郊外生活、工場の勤務時間
第3章 自らの制約と向き合う
    ―レースカー、バスケットボール・パンツ、オペラ
第4章 目的を明確にすることが重要
    ―目の前の山に登るか、リクライニング椅子でゆっくりするか

パート2 新時代の整理術を身につける
第5章 テイラー・システムとトラッパー・キーパーに別れを告げて
第6章 検索技術をマスターする―フランスのパリか、ラスベガスのパリスか
第7章 情報を目立たせるには―カラー・マーカーとフィルタ
第8章 紙とデジタルの使い分け
    ―システム手帳かデジタル・デバイスか
第9章 電子メールを検索可能な“自分履歴”に変える方法
    ―使い道は送受信だけじゃない
第10章 カレンダーをクラウドに保存すべき理由―共有がミソ
第11章 文書とウェブ・コンテンツの整理
     ―ブラウザー、オペレーティング・システム、クールなステッカー

パート3 大小様々な困難に打ち勝つ
第12章 注意の散漫をなくし、仕事に集中する方法―脳の負担を抑える
第13章 仕事とプライベートを融合させる方法―浜辺でメールをチェック
第14章 想定外の出来事に対処する
第15章 まとめ
エピローグ 考えるな、滑れ!
筆者お勧めツール
訳者あとがき

内容について:
本書に載っている整理術の原則まとめ
①脳の負担がなるべく少なくなるように、生活を組み立てよう
②なるべく早く、頭の中から情報を追い出そう
③“ながら作業”は一般的に効率を低下させる
④物語を使って覚えよう
⑤いつもそうしているからといって、そうしなければならないわけではない
⑥知識は力ならず。知識の共有こそ力なり
⑦思い込みの制約でなく、現実的な制約を潜り抜けるすべを身につけよう
⑧自分を決め付けるのではなく、自分自身に心から正直になろう
⑨制約を無視すべきケースを知ろう
⑩エンジンをかける前に、どこへ向かっているのか、どうやって向うのかを明確にしよう
⑪目標の達成に幅を持たせよう
⑫情報を整理するのではなく、検索しよう
⑬本当に記憶の必要なものごとだけを記憶しよう
⑭大きなかたまりを、小さなかたまりに分けよう
⑮週一回、重要な情報を見なおす時間を設けよう
⑯完璧な整理術などない
⑰後で検索しやすいように、デジタル情報には関連キーワードを追加しよう
⑱文脈の変化を見越して、メモをとっておこう
⑲文脈の似た仕事をまとめて行おう
⑳仕事とプライベートのバランスをとるのではなく、融合させよう


③のながら作業がよくないというのは、身にしみた。というかながら作業は結構好き。

目的を持つことが大切というのは、よくわかっているつもりだけど、なかなか難しい。

GmailやGoogleカレンダーの使い方については、かなり参考になった。Googleカレンダーは使ったこと無かったけどこの本読んで、使ってみたらかなり便利だった。

最後の方に整理術の原則の就活にあてはめた解説もよかった。

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グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)