2010年3月31日水曜日

森博嗣『詩的私的ジャック』

《あらすじ》
死体に残された傷は何を意味するのか!?
女性が死んでいた。みな密室で。歌詞のとおりに1人、また1人。

大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する!

S&Mシリーズの4冊目です。この話では冷たい密室と博士たちの時のように、犀川や西之園萌絵の近くで事件が起こります。そんな近いところで立て続けに事件に巻き込まれるというのは、不幸としか言いようがないですが・・・。
この作品当たりから、不思議な感じの漂い方が尋常じゃなくなってきていると思います。ここまでの作品では犯人の動機も理解できる範疇でしたが、この作品のような犯人は、現実にはいない小説の世界の中だけのキャラクターだと思います。こんなタイプの人がいないわけではないけど、殺人の動機にされたら世界の設定が歪みます。

少し否定的に書きましたが、本書の魅力がまさにその、犯人の考え方や性格にあると思っています。この話も密室が扱われていますが、必ずしも密室そのものを解くことが重要になるタイプの問題ではなく、なぜ密室だったのか、そして動機は何だったのかということに重きが置かれています。そういう意味では、ミステリ要素だけじゃない力があります。

2010年3月30日火曜日

鎌池和馬『とある魔術の禁書目録12』

鎌池和馬『とある魔術の禁書目録12』
どうもこんにちは。
今回はとある魔術の禁書目録です。
ラノベです。ライトノベルってあんまし読んだこと無いんですよね。キノの旅くらい。
そんな中ついうっかりアニメを見てしまい。面白かったので読み始めました。

頭の中でこんな設定の話あったらおもしろいなぁ。とか考えてたんですよね。月並みすぎますが、魔法があって、学校って設定で、現代風で。

もうとっくに大人気シリーズになってた。

そんなわけで、12巻ですが、この巻はあとがきに書かれてもいますが、コメディに特化してます。前半3分の2くらいまではそんな感じで事件も起きずに、進んでいきます。特に、一方通行と当麻がニアミスして、このままで会うのかな、出会わず終んのかなとか考えてたら、事件発生しました。

僕はアニメを見てそのあとにWikipediaを熟読してしまったので(ぉぃぉぃ、この先の大まかなあらすじや何やらを知ってしまっているんですが、この巻から話はどんどん大きくなっていきそうですね。続きを読むのが楽しみです。

そして事件に突入したところで、次巻に乞う御期待というわけで、続きが気になる12巻でした.



西尾維新『偽物語(下)』

化物語の下を読まずにここまで来てしまいました。アニメの15話が速いか、それとも図書館で予約したやつが届くのが、早いか。
僕の予想ではほぼ100%後者ですが。

上巻を読んでいても思いましたが、下巻は、さらに、と言いますか…。
阿良々木君の素性が割れてきましたね。主に変態方向のベクトルで。(キャラ崩壊ともいう)
作中では忍のキャラについての話がありましたが、こっちは崩壊(変遷)の理由はある意味筋が通っているんと思うんですが、暦のはそれを遥かに凌駕するほどの変貌ぶり。彼の人間強度は一体どうなってしまったんでしょうか。普通触れねーよ。

副題はつきひフェニックスですが、月火はなかなか出てこないです。前半が大体読んでいて楽しくなる掛け合いやギャグなので、あんましシリアスなものでも無いし。それでもそれなりに、驚かされる結末ではあったし、期待を裏切らない内容だと思います。

あえて言えばテーマとして、正義と悪、本物と偽物の違いとか、そんな議論にに重点が置かれています。自分にとっては正義だとしても誰かにとっての悪になる。本物と本物と見た目も機能も違う偽物。どちらが価値が大きいか。月並みな疑問ですが難しい問題ですよね。
ちなみに僕自身の見解を臆せずに書いときます。
・正義と悪
最近ワンピース面白くなって目が離せないですよね。ドフラミンゴの勝った方が正義っていうのがカッコいいです。
・本物と偽物
ブランドの偽物は安いです。ですが、アフターケアや保障関係は本物の方が厚いです。これ、知的財産権の教科書に載ってました。。

今後も傾物語、猫物語と出版が決まっていてとても楽しみです。零崎人識の人間関係についても未読ですが、早く読みたいです。お金があれば買いたいんですけどね…。



2010年3月29日月曜日

森博嗣『笑わない数学者』

《あらすじ》
伝説的数学者、天王寺翔蔵博士の住む三ツ星館でクリスマスパーティーが行われる。人々がプラネタリウムに見とれている間に、庭に立つ大きなブロンズのオリオン像が忽然と消えた。博士は言う。「この謎が解けるか?」像が再び現れた時、そこには部屋の中にいたはずの女性が死んでいた。しかも、彼女の部屋からは、別の死体が発見された。パーティーに招待されていた犀川助教授と西之園萌絵は、不可思議な謎と殺人の真相に挑戦する。

S&Mシリーズの3冊目です。裏表紙のレビューだか何だかに、事件そのものと謎解きが、全く違う問題に見えて、実は同じ問題だ。みたいなことが書かれていて珍しく、どんなトリックなのかなあと、考えながら読みました。銅像が重りになって、死体を運ぶとか矛盾だらけのつまらない推理しかしませんでしたが、結局わかりませんでした。でも、この本に限っては、もしかしたら何かの拍子に気づけたかもしれません。結構単純明快なトリックだと思います。

初めの方にあった天王寺博士が出題する問題はとても面白いです。こんな風に面白いと思わせる問題はどこから持ってくるのか気になるところです。数学ってスパッと切れるものが多いと思います。表現が抽象的すぎる気もしますが、白黒はっきりしているところは、数学の魅力の一つでしょう。科学ももう少し、白黒はっきりしているともっと便利だと思いますが、世の中そうはいきません。



2010年3月28日日曜日

森博嗣『大学の話をしましょうか』

第一章
最後のところが、大学生である自分にとっては意味のある書物になったと思う。
大学院に行くことは決めているが、どうして行かなければいけないか説明できなかったが、背中を押してもらえた気がする。

第二章
大学という物の機能や役割について、なかなか辛辣に語られている。お役所的な仕事が多くてしかも意味不明だとか。大学の抱える矛盾についてよく見ているんだなと思った。さすが研究者といったところだろうか。

第三省
少々自分にとって衝撃的な発言があったので引用しておく。
≪ミステリィにしたのは、やはりミステリィが小説の中では最もコード的というか、書きやすいジャンルだったからですね。小説の中では最も単純だと思いますし、作るのが簡単です。≫

作者自身が大学に依存せず、ある程度距離を置いているせいか、かなり客観的で大学に対する反対意見もかなり多かった。それでも、好きなことを研究できる大学という環境に感謝している姿勢は素晴らしいと思いました。あと、大学教授という得体のしれない人種がどんな仕事をして、どういった状況に置かれているかということも知ることができて、面白いと思いました。自分が抗議で見ていたさえない教授たちも面倒な事務的仕事に追われてあくせく働いているんだろうと想像すると、多少は見直さざるをえない。

他に何か読んでいるわけではないですが、一般論とは違う大学論です。普通とは異なる視点からの物言いなので、著者自身の意見に賛同できないような人でも読んで損はないと思います。大学生ならばなおさら考えさせられる内容なので僕としてはとてもお勧めです。もちろん作者のファンの人ならば、どういった考えを持っているのかを知るのに参考になる本だと思います。

思い出したので追記。
最後の方に同窓会誌のインタヴューに答えてというコラム的なところがあるんですが、ここで著者は名前の大切さについて言及しています。これは、著書の幻惑の死と使途でも扱われていることから、著者にとって重要な考えなのだと思いました。

2010年3月27日土曜日

竹内薫『ねこ耳少女の量子論~萌える最新物理学~』

竹内 薫 (著), 藤井 かおり (著), 松野 時緒 (漫画) (著), 松野 時緒 (イラスト)

はい。そんなわけでこんにちは。SUPERMERです。
今日テキサスバーガー食べてきました。
かざすクーポンで今単品290円で買えるんです。130円お得です。コーヒー買えます。
そんなわけで、自他共に認めるケチなワタシは食べに行くことにしたのです。
おいしいですね。とても。また食べたくなりました。

今日は量子論の本を紹介します。マックで読みました。表紙見えないように持ちながら(笑)
本当はブルーバックスでも読もうとか思ってたんですよ。
でもさ。
図書館の量子論のところにやけに目立つピンク色が一冊あってさ…。

内容は量子論の不思議な世界の入口に立つための本、といったところです。ある程度かじっている人よりも、何も知らない人が量子論ってどんなものかを知るためにいいと思います。でも、ある程度知ってるからこそツボにはまるというのもあるかも。

漫画の方にもちゃんとストーリーがあって、単純に読み物として読んでも面白いと思います。あいりちゃん(表紙の子)がかわいい。

昨日の記事で今は情報技術の時代だ的なことを口走ったんですが、物理学も生物学もその他いろいろも未だに未完成なところがたくさんあって、いろいろな研究が行われています。そんなことを知るための第一歩としてこの本を読んでみてはいかがでしょうか。

2010年3月26日金曜日

ベルナール・ジラール『The Google Way』

ユーザーを味方に、そうすれば成功する。――ラリー・ペイジ
グーグルはスイス製アーミーナイフのようであるべきだと考えています。――マリッサ・メイヤー

これらの二つの言葉は、読んでいて特に印象に残った言葉であり、これほどGoogleという企業をうまく説明している言葉も早々見つからないだろうと思います。(著者じゃなくて幹部社員の言葉です。)今記事を投稿しようとしているこのbloggerはGoogleのアーミーナイフの機能の一つであるし、他にもGmail、アドセンス、マップその他いろいろ。そして言うまでもなく、Googleをここまで大きくすることになった検索エンジンサービス。これらは、ユーザが便利に使えるように考えられているし、しかも無料!!今売れていて話題のクリス・アンダーソンのフリーにもあるような画期的な無料ビジネスを行ってきている。経済学的にもこれまでとは異なる革新的、革命的なやり方で、一時は倍々に業績を上げてきたGoogle。この本ではそんなGoogleの成功がどのようなアイディアによって生み出されてきたかを余すことなく伝えていると思います。

ホントに読んでびっくりです。なんか同じ時代同じ世界に暮らしていているのに、何だろうこの物凄さは。日本でのシェアはYahoo!Japanの方が持っていてあんましメジャーではないですが、なんかもう世界征服できそうなくらい力持ってるんじゃないだろうか。SUPERMERが考えた50年ごとの学問のバブルを並べると、100年程前のアインシュタインやシュレディンガーに代表される物理学、50年前のワトソンとクリックのDNA二重らせんを代表する生物学、そして今の時代、文句なくIT技術の進歩こそが世界の天才たちがしのぎを削る対象となっていると思います。これらの出来事は学問というものに対する爆発的な影響を与えている発見であり、それをキッカケにして、またその分野がどんどん発展していきます。今後またどのような新しいものが出てくるか楽しみで仕方なくなってきます。
IT関連の本を読んでいると今という時代の中心を見ているようで、とても可能性にあふれているように感じます。最近はGoogleに限っては中国問題で話題ですし、この前ふれた著作権の問題など、避けて通れない問題もあります。ですが、著者が冒頭で述べているように、知識のアクセスをここまで容易にできるようにしてくれたことを感謝したいです。

途中読んでてびっくりしたのが、ブログサービスを最初に始めたのがbloggerで、それを作った人、ビズ・ストーンはTwitterの立ち上げにも関わっているとか。すごい人がいるもんですね。

ブログ作る前に一冊Googleの本読んだんです。NHK取材班『グーグル革命の衝撃』という本なんですけど、自分のプロフィールのところに載ってるお気に入りブログ黒夜行さんのところで紹介されていて興味を持ったんです。実は、この本はブログを作ろうというキッカケになった本だったのです。アドセンスで一財産を築いた若者の話が一番気に入ったんです。我ながら金の事ばっか気になってしまう嫌な性格です。今は更新そのものが楽しいということもここに明記しときます。そんでもって、Googleという企業に俄然興味がわいてきて、もっと詳しい本を読んでみようと思って手に取ったのが、この本です。今のグーグルがどうしてここまで大きくなったのか。その疑問に少なからず本書は答えてくれると思います。

2010年3月25日木曜日

索引作りました。

http://saikindoumo.blogspot.com/p/blog-page.html

索引作った。

なんかこういうの作るのって面倒くさいけど案外好きです。

東野圭吾『流星の絆』

≪あらすじ≫
3人の兄弟が幼いころに殺された。数年たって3兄弟は詐欺師になっていた。作戦担当の兄、実行担当の演技派の弟、男を騙す美貌を持つ妹。詐欺のターゲットを調べているうちに、弟は事件のあった夜に遭遇した男を見つける。そこから3人の復讐劇が始まる。

さすが東野圭吾というだけあって、とてもハラハラさせてくれるストーリーでした。3人が詐欺をしているところなんかは、多少不謹慎ですが、冒険心みたいな感情がくすぐられました。
ドラマになっている今作ですが、そのせいでなんか読む気が失せてしまったんですよね。なぜか。(ドラマ否定してるわけじゃないです。)
そういう性格だからなんですが、食わず嫌いと同じで損をしているところも自分自身多いので、今回読んでみた次第です。伊坂幸太郎の時と似てます。

Amazonのあらすじをいつも?のようにコピーしようと思ったのですが、読んでからあのあらすじ(キャッチコピー?)を見ると少し自分のイメージとかみ合わないので、今回は自分で書きました。嫌なんですけどね、自分で書くの。作品のイメージ損ないそうで(汗。

ともかく、この本は万人が楽しめるタイプの小説だと思います。普段小説を読まないような人でも分厚さの割にどんどん読み進められると思います。

実は今日もまだ本が読み終わってないのです。この本はこのブログを始めるちょっと前、3月初めに読んだものです。笑わない数学者にしようとも思いましたが、同じ作家ばかり続けるよりもいろいろ書いていきたいのでまた今度。

2010年3月24日水曜日

電子書籍について

本当は早く次の本のレビューしたいんだけど、なかなか読み終わりません。春休みも終盤になって来たところで用事が増えてきました。どうやら世間は俺の存在の必要性を感じてきたようだ。

何はともあれ、そんなわけで、今日は本のレビューをお休みして、本の話をしようと思います。
まあ、ここ数日の朝日の朝刊に載ってて気になってただけなので、ブログの趣旨とは少しずれます。

最近はipadが登場して、話題沸騰しているようです。電子書籍といえば、僕の中では、Amazonのキンドルがパッと浮かびますが、今まで、お目にかかったことはありません。便利だとは思うんですけど、今のところ図書館の自称ヘビーユーザーなので、うまく使うことは難しい気がします。(あくまで個人的には)

電子書籍が便利な状況というのは、本を何冊も持ち歩くことに比べると、非常に軽量化できることと、内容の検索が簡単になることだと思います。

一方で、電子書籍は著作権の問題が大きく絡んできます。電子化してしまうとコピーは簡単になるし、本の値段も下がるので、多分本屋さんが商売あがったりになってしまいます。このような状況は、音楽業界には一足先に訪れていると思います。

著作権の問題以外にもそもそも電子書籍とノートパソコンやネットブックとの違いがかなり曖昧です。書籍である以上一定の大きさになってしまうことから、ipodのようにポケットで持ち運ぶのとは、少し感覚が異なると思います。鞄に入るようであれば、小さいパソコンの方が便利だと思います。

電子書籍という物が持てる利点としては、本を読むだけの目的のため、パソコンより電気を使わない、操作がわかりやすいもしくは複雑でない、そして、コンテンツが充実していること。これらが、自分的に要点じゃないかなと思います。
(追記:Googleリーダーみたいな機能があると便利かも。すでにありそうだけど。

コンテンツに関しては記事を提供してくれる作家ありきでやらなければいけないので、電子書籍の特性を生かしたうまい使い方を考えないといけないと思います。僕が考えてもしょうがないですが、どうなっていくんでしょうね。(Amazonの紹介ページ上のリンク見たら結構充実してた。ダンブラウンのロストシンボルとか、各種雑誌とか。英語だけど。)

ちょっとAmazon見たら、iphone版のキンドルがあるらしいですね。iphoneはどんどん使い方が、増えていくなあ。
あとgoogleの電子図書館の話も気になりますね。これは今度別に書こうと思います。著作権の期限のこととか。


本当はキンドルそのもののリンク貼りたかったんですが、Amazon.co.jpでは売ってないみたいですね。Amazon.comのアカウント作るのもめんどくさいので、関連本貼っときます。読んでません(爆)。

2010年3月23日火曜日

森博嗣『冷たい密室と博士たち』

S&Mシリーズの2冊目です。
あらすじ(AMAZONから引用)
同僚の喜多助教授の誘いで、N大学工学部の低温度実験室を尋ねた犀川助教授と、西之園萌絵の師弟の前でまたも、不可思議な殺人事件が起こった。衆人環視の実験室の中で、男女2名の院生が死体となって発見されたのだ。完全密室のなかに、殺人者はどうやって侵入し、また、どうやって脱出したのか? しかも、殺された2人も密室の中には入る事ができなかったはずなのに? 研究者たちの純粋論理が導きでした真実は何を意味するのか。

これ書く前にアマゾンのレビューちょっと読んだんですが、あんまし評判良くないみたいですね。やっぱり、前作の『すべてがFになる』の印象が強かったとか、あまりにオーソドックスだとか、そういう意見が多いみたいです。
基本的にはミステリィを好んで読む人って劇的な刺激を求めているんでしょうか。僕はトリックとか読んでいるうちにわかる人は、エスパーだと思っているので、基本的に騙されるのが前提で読んでるんです。まあ、読んでいる間は深く考えているわけでもないし、基本騙されます。でも読む人それぞれですね。

著者のホームページでも森博嗣自身が「キャラクタ設定がここで行われている、という意味しかない作品です。」と書いてしまっているので、アマゾンのレビューは案外著者自身も予想通りだったかもしれません。

これは過去に読んだやつのです。最近森博嗣ばっか。

2010年3月22日月曜日

森博嗣『夏のレプリカ』

《あらすじ》
那古野市の実家に帰省したT大大学院生の前に現れた仮面の誘拐者。そこには血のつながらない詩人の兄が住んでいた。誘拐が奇妙な結末を迎えたとき、詩人は外から施錠されていたはずの部屋から消え去っていた。朦朧とするような夏の日に起きた事件の裏に隠された過去とは!?事件は前作と表裏をなし進展する。

前作の幻惑の死と使途が奇数章であった対として、この作品では時系列順に偶数章の物語となっています。この感想を書く前に、僕自身読んだ人がどう感じているのか気になって、あちこちのレビューを読みあさってしまったので、感想が他人の焼き増しになってしまうかもしれませんが、ご容赦ください。

このお話はとても悲しいお話だと思います。今まで順に読んできたシリーズの中では、密室や事件の鮮やかな謎ときがすごくって、犀川先生と西之園萌絵の活躍や掛け合いが魅力的だったのに対して、この話では、もちろん推理小説としての魅力もあると思いますが、犯人の動機に関して胸を打つものがありました。これを書いている今も結構後に引いています。散歩でもしながらゆっくりと感傷に浸りたいと思います。

久々に一日で一作読み終わりました。大学生の長期休みは幸せだと思います。好きなことに没頭できる用意が整ってますからね。

2010年3月21日日曜日

森博嗣『幻惑の死と使途』

あらすじ
「諸君が、一度でも私の名を叫べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」―自信に満ちたせりふと共にあらゆる状況からの脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が、衆人環視の状況の中で殺害された。さらに、彼はなんと遺体となってまで、最後にして最大の奇跡を行う!?犀川・西之園師弟が明かす驚愕の真実。

シリーズの感想を載せていくと言ってすぐに、順番をこじらせるのはどうかと思ったんですが、読み終わってすぐに書いたものを順番の通りにしたいがために、後に持っていくのもどうかと思い、いきなり、6冊目の『幻惑の死と使途』です。

何か言い訳から始まりましたが、何なんでしょうね。この主人公たちは、マジックのトリックをさも当たり前のように見破っちゃって。こんな視点で手品を見てみたい…。
僕は、まさに浜中さんのようにマジックを見ます。そして華麗に騙されます。

犯人の動機の一部でもあり、作中の重要な概念として、「名前」というものの持つ力についての話があります。犀川先生いわく、「名刺の独立によって、動詞や形容詞は統合され、あるいは分化される。これが、組織化された言葉だ。人は、ついには、その名前のために生きることになるんだ。」だそうです。つまるところ、人間は自分の名前の力を上昇させるために、勉強したり、仕事したりといった努力をする、というわけです。なんだか政治家や有名人みたいな人にしか縁がない話のようでもありますが、確かに、友達の印象なども、基本的に名前と一緒に記憶されるわけで、つまりは人との付き合いをうまくしようというとこだけでも、「名前のために努力している」という命題に矛盾はないのかな、とも考えました。

くだらないことかもですが、ブログの運営だって、結局は名前のためにやっていることです。ネット社会である今の世の中はどんどん名前の力が増していく方向に来ているのかもしれません。

2010年3月20日土曜日

森博嗣『すべてがFになる』

森博嗣の記念すべきデビュー作です。第1回メフィスト賞受賞で、それも森博嗣を衝撃的にデビューさせるため(出典はWikipedia)、ゲームまで作られているなかなかすごい作品。犀川創平と西之園萌絵によるS&Mシリーズの最初です。

偽物語(上)のように図書館で借りようと思っていたんですが、シリーズの順番通りに読みたかったのに、なかなか見当たらなくて(誰かが借りてて)やっとのことで、本棚で見つけたときは何か無駄に嬉しかったのを覚えてます。(予約すればもっと早く読めたんですけどね。)ちなみに今年の1月末の話。つい最近です。

読んで圧倒されました。すごく面白かった。本当に衝撃的でした。出版されてから10年もたっているが信じられない。というか逆にネット技術とかが少し身近になっているせいか、よりリアルに感じられるのかもしれない。最初のところの萌絵と真賀田四季博士のやり取りや、密室の不可解さ、そして犀川の見事な謎解きと、魅力がいっぱい詰まっています。後、個人的に天才が出てくる話は結構好きなので、その点もツボでした。

こんなのが10作も続くなんて幸せ。当分読む本に困らないなー。なんて。

ブログの内容の充実のためにも、シリーズのレビューやろうと思いました。なかなか新しく本が読めない時期に、追加していこうと思います。でも、まだ今読んでるの6作目なんですよね…。すぐに記事が追いついてしまう様な気もしますが、開設間もない時期でやる気満々なので、よろしくお願いします。

2010年3月19日金曜日

森博嗣『少し変わった子あります』

あらすじ引用

小山が後輩の荒木から勧められた料理店は、一風変わったところだった。場所は訪れるたびに変わり、顔を見せる店員は三十代と思しき女将が一人だけ。そして、毎回違い若い女性が食事に相伴してくれるのだ。戸惑いつ、女性たちと会話を続ける小山は、次第にその店の雰囲気にひかれていくのだが……。

引用終わり

この作品は他の森博嗣の作品とは一風変わった感じだと思います。(全部読んでいるわけではありませんが、)あらすじからして何だこれ?的に感じました。
僕の中では、ミステリィ(これ書いてみたかった。)と、スカイクロラのイメージだったので、こういう作品もあるんだなという印象を受けました。
全部で八章から成っていてどれも一章ごとに話が大体分かれているので、切りよく読めます。
一人称の小山教授が考えている、仕事のこと、人との付き合い方といった人生観が、女性との食事を通して出てきます。

人が物を食べているのを見るのは気持ちの良いものではない。それは、殺生の動機に合うようなものだ。日ごろ上品な人でも食事のときにはぼろを出すことがある。そういったことから食事のマナーが成立してきた。

こんな内容の部分があるのですが、なるほどな。と思いました。他にも印象に残るような話がたくさん詰まってます。ですが、人によっては、退屈に感じるタイプの本かもしれません。

2010年3月18日木曜日

西尾維新『偽物語(上)』

西尾維新の人気シリーズである化物語の続編です。

偽物語では主人公である阿良々木暦の妹であるファイヤーシスターズの活躍を中心に化物語の登場人物たちが結構均等に出てきて、まるで特典おまけディスク的なお話です。多分。
このシリーズにどっぷりはまってしまった自分のような人間にはこれ以上ないってくらいに楽しめました。駄洒落や言葉遊びがふんだんに盛り込まれていて一人ひとりの登場人物との軽妙な掛け合いがすごく面白いです。

実は化物語の下巻読んでないんですよね。傷物語は読んでいるんですが・・・。他にこの順番で読まなくてはならない人は滅多に居ないと思いますが、できれば化物語の上下は読んでおいた方がいいと思います。僕の場合は図書館で予約していたんですが、化物語の下巻よりも早くこの本が届いてしまったので我慢できず読んじゃいました。話がわからなくなるということはないんですが、少しだけネタばれしてしまうのでやはり順番通り読んだ方がいいかなと思います。

2010年3月17日水曜日

伊坂幸太郎『陽気なギャングが地球を回す』

伊坂幸太郎の書き下ろし長編サスペンスです。

この本はタイトル通り、陽気なギャングの痛快な活躍が描かれています。計算高い嘘発見器の成瀬、演説好きのカフェ主人響野、完璧な体内時計を持つ派遣OLの雪子、脅威的なスリの腕前を持つ若者久遠。この4人が強盗を企てることから話は始ります。強盗自体はこれ以上ないというくらいうまくいったのだけれど・・・。というあらすじです。

この本のすごいところは、何よりも読者を退屈させないところです。本のカバーのレビューにも書いてありますが、とにかくテンポが良くて、続きは気になって、最後には痛快で見事なエンディングが待っています。僕は時間つぶしに本を読むことが多いですが(主に電車、今は休み中なので気が向いたら)、この本は時間を忘れて熱中しました。これは流行らざるを得ないと思いました。

伊坂幸太郎はあまり読んだことがないのですが、これからたくさん読んでみたいと思わせる作品ですし、これから新作はくまなくチェックしようと思いました。人気だと読みたくなくなる人(それ自分だよ)が損をするタイプの作家です。

最後にこの本の区切りの良いところに出現する辞書の引用っぽいのが中々面白いので一つ紹介。

うち-あわせ【打ち合わせ】①ぴったり合わせること。②前もって相談すること。③打楽器を合奏すること。④会社員の労働時間の大部分を占める作業。参加者の数に比例して時間が長くなる。声の大きな人が主導権を握る。有意義なものは稀れ、最終的には開始前の状態に戻ることも多い。

2010年3月16日火曜日

アガサクリスティー『そして誰もいなくなった』

今回は読み終わったばかりの作品ではなく、前に読んだ本ですが紹介したいと思います。

この本は名探偵ポワロやマープルでおなじみのアガサクリスティーのこれまたおなじみの作品です。名前だけなら聞いたことがある人も多いと思います。そんなわけで初めてアガサクリスティーを読んでみたいと思った僕は、名前だけなら知っているこの本を選んだのでした。

この本はよくある孤島で繰り広げられる殺人ミステリーの先駆けな感じの作品です。様々な階級を持ち、様々な世代の人々が集まって事件が起こる。というのはいかにもアガサクリスティーらしいです。

島に集まった人々が次々と殺されていき、最後には誰もいなくなってしまうという、ある意味ミステリーというよりもホラーといった方がいいような展開で物語は進んでいきます。インディアンの数え唄にそって一人一人殺されていくわけですが、一人ひとりの人物描写や心理描写がとても丁寧で、登場人物の恐怖が直に伝わってきます。そして最後には犯人が全てを明かした手紙が発見されることで事件は解決します。

何をおいてもこの作品には多くの人に名作と言わしめる魅力があると思います。



ランキング登録してみた。人来るようになるんだろうか。こんだけ広告出しといて来んなとは言わないけど、ハズカシー。

某条例について

東京都が青少年の健全な育成に関する条例の一部改正をするという記事が今日の朝日新聞の朝刊に載ってました。いろいろと思うところあるので少々ブログの趣旨から外れますが、誰もそんなこと気にしないと思うので、書きつらねたいと思います。

鎌池和馬『とある魔術の禁書目録11』

外伝アニメが大人気放送中のシリーズ第11巻です。

主人公上条当麻は不幸であるというアイデンティティにもかかわらず、旅行のペアチケットが当たり、豪華北イタリア5泊7日の楽しい旅行に出かけるはずが…。

舞台こそ今までにない場所でしたが、昔懐かしな人たちが出てきて新鮮味という点では、登場人物よりもなんだかスケールのでっかい魔法に魅力を感じました。SF的なものを読むときはいつも思うんですが、作者の人ってよくこういうの思いつくなぁ、とそんなことを考えます。日々鍛錬を欠かさずしていればこそ成せる技なのでしょうか。

ヴェネツィアという都市が物語の上で結構重要な鍵となっていますが、そんなヴェネツィアを舞台にした物語というのは結構多いんじゃないかと思います。人生のうちでは一度は行ってみたいなと。そんなヴェネツィアを舞台にした代表作といえば・・・・


2010年3月14日日曜日

西尾維新『化物語(上)』

言わずと知れた西尾維新の話題作です。

西尾維新を知ったきっかけはデスノートのノベライズでした。当時は特に多くの本を読んでいたわけではなかったのですが、デスノートに見事にはまってしまったので、もれなく購入したのでした。

そして化物語なんですが、これはもう少し面白い出会いがありました。(結構どうでもいい

ある時、部活で遅くなった日のこと。
とてもお腹が空いていたので、夕食を用意し、炬燵に入り、そしてテレビをつけたのでした。
そしたら何やら不思議な雰囲気を醸し出したアニメをやっているではありませんか。
これが、化物語の2話のBパートだったのでした。

とてもシリアスな展開だった上、途中からだったのですが、なんか面白そうだ。ということで見始めたのでした。あとでAパート見たときは、ビックリしました。もっとやれ

エンディングがsupercellだったのも印象に残った理由の一つでした。メルトのころはボーカロイドにめっちゃはまってました。

、というわけで肝心の、原作:西尾維新という情報はだいぶ後になってから知ったのでした。

そして、さらに今まで表紙がちょっとあれで手を出していなかった戯言シリーズへと進んでいくのであった。

全然内容のこととか書いてないですが、まあいいか。

15話はいつ配信するんでしょうね。すごく楽しみです。

2010年3月13日土曜日

結城浩『数学ガール フェルマーの最終定理』

さて、記念すべき第一回目ですが、とくに何にするかも悩まずに、ちょうど読み終わった作品、結城浩の「数学ガール フェルマーの最終定理」の感想です。

数学ガールは現在3作出版されていてこの本はその2作目です。内容は数学好きの男子高校生がかわいらしい女の子たちと数学に取り組んでいくという感じです。僕が書くとなんか俗ものっぽい紹介になってしまっているような気がしますが、この本はかなり込み入ったところまで数学しています。それこそ中学生くらいの内容から大学生でも難しいといったレベルまで。

実は、フェルマーの定理は一度理解しようとして本を借りたこともあったのですが、高校レベルまでしか、詳しく知らない自分にはとてもハードルが高く、少し歴史的なところだけ掻い摘んで、肝心の証明は結局よくわからなかったのです。しかし、この本では他の本ではさも当たり前という風に記述されている部分がわかりやすく解説されており、とても理解がしやすくなっていますそして何を差し置いてもキャラクターの魅力が満載なので、数式がよくわからなくても読み進めたくなります。

個人的に気に入ったのは、単位円の有利点の個数が無限に存在することと、ピタゴラス数が無限に存在することが同値であるというくだりです。ちなみに、私はこの命題についてこの本によって驚くべき証明を知っているのですが、残念ながら余白が狭すぎるのでここには書きません(笑)、気になる方は是非、結城浩「数学ガール フェルマーの最終定理」を読んでください。数学を学びたいという人にとっては良い入門書になると思います。

ブログ始めてみた

こんにちは。

いまだ誰も見ているわけは無いのにもかかわらず、挨拶をするのは少々恥ずかしい気がします。

本ブログではこれから私が読んで面白いと思ったものをいろいろ紹介していきたいと思っています。紹介によっていろんな人が紹介した本の面白さを知ってくれて売り上げが伸びたらうれしいなぁ。とか思ってます。

タイトルの「ブログ始めてみた」なんですが、面白いタイプミスと誤変換をしたのでそれを紹介。

ブログは閉めてみた(まだはじまってもねーよっ!

ブログ初めて見た(最初の投稿がこれだったら大物の予感ですね

どーでもいいこと書きましたがこれからよろしくお願いします。ということで。