2011年6月20日月曜日

フェイスブック‐若き天才の野望‐

タイトル:フェイスブック 若き天才の野望

著者:デビット・カーク・パトリック

著者について:
IT関係の取材に長けている記者。過去にビルゲイツやスティーブジョブスを取材。今回の取材のために会社を辞めている。

この本と出合ったきっかけ:
書店の平積みでかなり目立っていたうえ、フェイスブックも話題になりかけていた。

内容について:
ハーバードの学生であった、マーク・ザッカーバーグがどのようにして若き億万長者になったのか、どのように成功していったのかを密な取材によってたどっている。

この本を読むと、何かを始めたいという気持ちに駆られる。ザッカーバーグはたぐいまれなる指導力を持ってフェイスブックを強大にしていったが、失敗も少なからずしているし、どこか人間味があるように感じられる。(著者の取材の賜物かもしれない。)

とりあえずフェイスブックに登録したくなる。僕は、ザッカーバーグの理想には反して偽名で登録しているのだけども、少しだけ本名で登録したくなった。(けど、登録しただけでロクに使ってない。友達0人w)

Googleと比較される点が多いけど、著者も指摘しているとおり、Googleはテクノロジーに特化している一方、Facebookは人間に焦点を絞っていると感じた。Facebookが人間に焦点を絞っている以上、Googleは人工知能や量子コンピュータでも開発しない限り、Facebookには追い付かれてしまうだろうと思う。僕はやっぱり現時点ではテクノロジーよりも人間が上にあってしかるべきだと思う。

世の中には、こんなに何かに一生懸命な学生がいるんだなと思った。本書の主人公たちの充実さは正直うらやましいし、自分の大学3年までの過ごし方は最低ではないにしろ余り誇れるものではないなと思った。(多くの日本人大学生が思っていることだと勝手に考えているけど。少なくとも自分の身の回りは・・・。)

話は変わるが、プログラミングを本気で学んでみたいと常々思っているが、この本を読んでより強くそう思うようになった。何かに役立つとは言えないけれど、Webリテラシーという点で、語学などのコミュニケーション力や経済的な知識に匹敵するくらい重要な素質になると思う、と個人的に思っている。

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フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

2011年6月7日火曜日

脳に悪い7つの習慣

タイトル:脳に悪い7つの習慣
著者:林成之
著者について:
お医者さん
この本と出合ったきっかけ:
友達が2年前くらいに読んでた。

内容について:
この本を読んで一番印象に残ったのは、脳の性質である「自己保存」「統一・一貫性」という2つのクセのこと。場合によっては「先入観」というのもこのあたりに関連していると思う。
この本に書いてあるほとんどの悪い習慣はこの二つのクセによって説明できそうな気がする。

読み終わったのは一週間以上前だけど目次読み直していくつか思い当たる点についてメモ。


《「嫌だ」「疲れた」と口にするのはNG》
これは良く言うし、良く聞く。さらに「眠い」あたりがランキングの上位に食い込んでくる。こういう言葉を発するのは、「自己保存」の表れ。こういうマイナスの言葉は、言う側も聞く側も、目の前のやるべきことにマイナスのレッテルを張ってしまう。

《表情が暗いと脳も曇る》
そのとおりだ!
というかどちらかというと脳が曇ってるから表情が暗くなるような気もするけど。

《「だいたいできた」と安心してはいけない》
レポート課題に関してはみんなこの姿勢でやっていることにこの本を読んで気づいた。
「もうこのことは考えなくても良い」と脳が判断してしまうらしい。
まさにその通りの実感がある。そうすることが必要な場合(忙しい、構ってられない)っていうのもあると思うけど、大事な課題とかでは、「完成はない」と考えた方がいいかも。

《「無理かもしれない」と考えるのはNG》
これ見て最初に思ったのは、小学校の頃の体育の時間。そのころからあきらめ癖がしっかりと身に付いていたということか。
大学に入ってスポーツ初めて本当に良かったと思っている。

《本を一回読むだけでは学んだことは活かせない》
そう。

わかってはいた。

しかし、これほどドキッとさせられた点は他にはなかった・・・。

趣味、娯楽として読む分には構わないと、書いてはあったけど、一回読んだ程度では身につくわけはないと、しっかり脳科学者が言ってくれた。
自分が一回読んだだけで記憶できるとは思ってないので、できればよい本は買って手元に置いておきたいけれどね・・・お金が・・・ね・・・・。

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2011年5月21日土曜日

デフレの正体

タイトル:デフレの正体―経済は「人口の波」で動く

著者:藻谷浩介

著者について:日本政策投資銀行参事役。

この本と出合ったきっかけ:
書店の平積みで帯に、池上彰(伝える力、学べるニュース)、山田真哉(さおだけやはなぜ潰れないのか)の称賛コメントが書いてあって、この二人とも著書が気に入っている。為替に興味があって(要はFXがやってみたい)デフレという言葉に吸引された。


内容について:
GDPとは健康診断に例えると「総合体調指数」である。これだけを見ても、血圧がいくらで、体脂肪率、血糖値、尿酸値、肝機能はわからない。

絶対額ではなく対前年同期比と総合指数だけを比べるようなことをしてもしょうがない。客観的で議論の余地のない絶対数、すなわち輸出額、輸入額、貿易収支の額を冷静に眺め、そこから構造を把握するようにする。(さおだけ屋を思い出した。)

対中国赤字は対香港黒字に比べてはるかに少ない。2008年の対中国黒字は2.7兆円。

GDPの合計は中国が日本を抜くが、中国は人口が10倍であることを忘れてはならない。

シンガポールは人口は中国の0.3%だが対シンガポール黒字は二兆円を超える。中国がシンガポールほど発展した際には、日本経済は史上最高の繁栄を迎えることになると考えられる。

世界で韓国車が売れないのは沖縄以外の日本だけ

中国、韓国、台湾は日本のブランドを買っている。

対日本黒字を出している国はフランス、イタリア、スイスでこれらの国は日本にブランドを売っている。

これらのことから日本はブランド力を高めるべきという結論に至る。

中韓台印がスイス、イタリア、フランスに行く前に日本ブランドを確固たるものにすべき。特に同じアジア人として生かせる分野。化粧品、食品、装飾、服飾など。

国内の酒類販売量が、95年あたりがピークで02年度から落ち込んでいる。水や食品も。車の販売量や雑誌の販売数も同じように連動している。これらはすべて同じ構造的な問題によって減少に転じた。

米国流のファイナンスでは「事実は何か」よりも[皆がどう思っているか]が重要となってしまう。報道がそういった情報に傾いてしまうのは仕方がない。報道のそういう避けられない欠陥を踏まえたうえで、自分で絶対数を確認し、しっかりと長期トレンドを把握する癖をつけるべき。

数字を読まない(SY)、現場を見ない(GM)、空気しか読まない(KY)ではダメ。

23区の売り上げを売場面積で割ると、1㎡あたり169万円。青森では75万円。しかし、土地代を比べると、23区の方がはるかに高い。(169/75を遥かに超える。)

「生産年齢人口の減少」と「高齢者激増」の同時進行を「少子高齢化」という言葉で表現している。この言葉は「子供が増えれば高齢化は防げる」という誤解のもと。

2000年から2005年までに増えた367万人の高齢者のうち118万人が首都圏一都3県に住んでいる。

いざなぎ景気も人口増がもたらした。

横山禎徳「成長創出革命」

90年代半ばは就職氷河期と呼ばれているが、団塊ジュニアが一気に就職し、就業者の総数が一気に増えた。

就業者数と反対の動きをするのは失業者数ではなく、非労働力人口。

「昔ほど車は買わない、そもそも以前ほどものを買わない、最近あまり本や雑誌を読まない、モノを送らなくなったし車にも載ってない、近ごろあまり肉や脂を食べないし、酒量も減った、水も昔ほど使ってない」これはまさに、退職後の高齢者世帯も消費行動そのもの。

高齢者にモノやサービスを買わせるということを戦略的に追及する。

この記事なんとなく著作権法違反の気があるけど、事実の羅列だからいいよね。たぶん。

非常に明快な理由によって説明されていて、少し怪しい気もした。でも、著者の人が言っていることは大体あってると思う。

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デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

2011年5月12日木曜日

悪貨

タイトル:悪貨

著者:島田雅彦

著者について:
島田雅彦という人物を知ったのは、確か朝日新聞の日曜版のコラムだったと思う。本の最後の経歴見ても、なにもピンとこなかった。外語大卒らしい。そのコラムは結構面白かった気がするけど、どんな内容だか忘れてしまった。著者の作品を読むのは初めて。
この本と出合ったきっかけ:
何かのランキングで見てなんとなく借りたとしか言いようがない。

主な思いだせる登場人物:
池尻 彼岸コミューン代表、元経済学教授。野々宮の恩人。
野々宮 野々宮に恩があり、彼の代表する彼岸コミューンに多額の寄付をしている。
日笠 警察。偽造貨幣の調査に長けている。
エリカ 日笠の部下。
張燕燕 エリカが潜入捜査をしている宝石店の店長。
郭解 中国の資産家。
フクロウ たぐいまれな観察眼を持っている。後藤とは古くからの知り合い。
後藤 フクロウの父親が経営していた印刷所に勤めていた。今は中国で仕事をしている。
鉄幹 野々宮の秘書役。

内容について:
悪貨と聞くと、「悪貨は良貨を駆逐する」という経済学でよく聞く言葉が浮かんでくる。どんなんだっけと思ってたら、作中にも出てきたけどもう忘れてしまった…。

最初はホームレスの男が100万円の入ったビニール袋を拾うことから話が始まる。ビニール袋に入った100万円があちらこちらで使われて、いろいろな人にわたっていく様子が面白かった。今手元にあるお金も誰が触ったかわからないお金だなぁと改めて思った。

結局そのお金は贋金だということがわかるわけだけど、そこから警察がお金の流れを逆にたどり、ただの偽札騒動が思わぬ方向へと広がっていく。実社会にもありそうに感じてしまうような設定なところがおもしろさの一つだと思う。おそらく作者は経済学に結構明るいだろうし、それをこのようなフィクションにしてしまうのはすごい。小説の感想を書くと、作者はすごい一辺倒になってしまうことに今気がついた。まぁいいか。

仮に、本作のような形でハイパーインフレが現実に起こるとしたらどうなるだろうか(ネタばれ?)。「デフレの正体」的にいえば、貯蓄をいっぱい蓄えているリタイアした高齢者の方々の資産価値は下がり、一方現役の生産者はインフレした状態で給料をもらえるわけだから、富の再分配が行われると思われる。とりあえず、インフレ、デフレが良い悪いとかは、僕にわよくわからんので、詳しくは語らないが、中国の貿易相手のとしては米国に次ぐ2番手である日本(参照)がインフレになったら中国にも悪い影響ありそうだよ、と思う。今のご時世で日本における中国の輸入物の値段が上がったらだれも買わなくなっちゃうんじゃないかと思う。もちろん悪いものばかりではないとは思うが。まぁ、この段落はただの空論です。

現実に起こり得そうな話っていうのは、やっぱり面白い。ところどころ小ネタが効いているというか、伏線みたいなものがけこう散らばっていてそういう点も面白かった。

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悪貨 (100周年書き下ろし)

2011年5月5日木曜日

夜行観覧車

タイトル:夜行観覧車

著者:
湊かなえ
著者について:
告白でだいぶ話題になった。告白、少女はすでに読んだ。
この本と出合ったきっかけ:
書店で平積みになっていて、最近売れてるなぁと思いつつ、図書館で予約した。
登場人物:
遠藤家
啓介 彩花の父親、壁紙の張り替え業者、家庭のことから逃げるタイプ?
真弓 彩花の母親、彩花とは口論が絶えない。家に対して高級志向。住宅ローンの返済のためにスーパーでパートをしている。
彩花 中学生。私立中学の受験に失敗。癇癪持ち。

高橋家
父親(名前忘れた)医者。子供に対しては、自分のやりたいようにさせる。事件の被害者。
母親(名前忘れた)
良幸 長男。医学部生。
長女(名前忘れた)彩花の落ちた学校に通っている。
慎也 二男。事件後行方をくらます。

鈴木さと子 ひばりヶ丘に住むご婦人。おせっかい。

内容について:
閑静な高級住宅街で起きた殺人事件。被害者、加害者の家族、その近くに住む家族などの関係者の話。

湊かなえは現代社会における家族他人間関係が抱える問題を、どす黒い感情を含めて表現するのが、すごくうまいと思う。ドロドロした話とか、人間不信になりそうな本を読みたいときには、かなりお勧め(だいぶニッチなシチュエーションだけど)

受験が抱える問題。子育てに関する父親も無神経さ。被害者、加害者家族への誹謗中傷。
マスメディアが間違った情報ばっかだということまで、表現したいらしい。

告白を読んだ時は、だいぶ衝撃を受けたし、胸糞悪くなったけど、それに比べれば、どういう作風か知っている分、良くも悪くも印象は小さい。時系列については各章ごとに時間とか書いてあったけど、ちょっとわかりにくい印象があった。章の中だけでも一人称が結構変わって、一人ひとりの感情は伝わってくるけど、流れがつかみにくかった。様な気がする。


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